静岡県警、逮捕者6人で過去最多の異常事態　『下着が見たくて…』なぜ不祥事は止まらないのか？

過去最多6人逮捕の衝撃、静岡県警で何が起きているのか？

駅のエスカレーターで響いた悲鳴

事件が起きたのは2025年11月21日、多くの人が行き交うJR藤枝駅でした。エスカレーターに乗っていた10代女性の背後から、スマートフォンを差し入れる不審な男。男は、静岡県警の交通部交通規制課に所属する36歳の巡査部長でした。男は県の迷惑行為防止条例違反（盗撮）の疑いで、その場で現行犯逮捕されました。市民を守るべき警察官が、市民を標的にした卑劣な犯行に及んだ瞬間でした。

「下着が見たくて…」悪質すぎる犯行動機

逮捕された巡査部長は、取り調べに対し「下着が見たくて盗撮した」と容疑を全面的に認めています。その動機は極めて悪質であり、個人的な欲望を満たすためだけに、警察官としての立場と信頼を悪用したと言わざるを得ません。この事件は、単なる一個人の逸脱行為として片付けられる問題ではありません。なぜなら、2025年に入り、静岡県警の警察官が逮捕されるのは、これで6人目。この数字は、統計が残る過去10年間で最悪の記録であり、組織全体に深刻な問題が潜んでいることを強く示唆しています。

相次ぐ不祥事は、この盗撮事件だけではありません。では、なぜこれほどまでに規律の緩みが生じ、犯罪が繰り返されるのでしょうか？組織が抱える根深い問題に迫ります。

なぜ不祥事は繰り返されるのか？組織に潜む“緩み”の正体

機能しない「再発防止策」の現実

静岡県警は、不祥事が起きるたびに「綱紀粛正の徹底」と「再発防止」を表明してきました。しかし、今回の事件は、県警が「全職員一丸となって再発防止に取り組む」と宣言している真っただ中で発生しました。この事実は、これまでの対策が全く機能しておらず、掛け声倒れに終わっている可能性を浮き彫りにしています。現場の警察官一人ひとりにまで綱紀粛正の意識が浸透していないのは明らかです。上層部と現場との間に意識の乖離があるのか、それとも倫理観を育む教育システムそのものが崩壊しているのか、組織の構造的な欠陥が問われています。

盗撮だけではない、犯罪の多様化

問題は盗撮だけに留まりません。2025年に逮捕された6人の容疑は多岐にわたります。窃盗、暴行、そして今回の盗撮など、その内容は県民の信頼を根底から覆すものばかりです。これは、特定の分野で規律が緩んでいるのではなく、組織全体のコンプライアンス意識が著しく低下していることを示しています。一部の「問題警察官」がいただけでは説明がつかないこの状況は、採用、教育、監督、そして処分の各段階で、組織としてのチェック機能が麻痺していることの証左と言えるでしょう。一つの不祥事が他の不祥事を誘発する「割れ窓理論」のような負の連鎖が、組織内で起きているのかもしれません。

問われる上層部の監督責任

一連の不祥事を受け、静岡県警の警務部長は「誠に遺憾」と述べ、県民に謝罪しました。しかし、謝罪の言葉を繰り返すだけで事態が改善しないことは、この1年が証明しています。現場の警察官を監督する立場にある上層部の責任は極めて重いと言えます。部下の変化に気づけなかったのか、あるいは見て見ぬふりをしていたのか。組織内の風通しの悪さや、問題を内部で解決しようとする隠蔽体質が、自浄作用を妨げている可能性も指摘されています。この組織の“病”は、私たちの生活にどのような影を落とすのでしょうか？

失われた信頼、私たちの安全は誰が守るのか？

県民に広がる深刻な不信感

「困ったときに警察に相談しても、本当に大丈夫だろうか」「制服を着た人を見ると、疑いの目で見てしまう」。相次ぐ不祥事は、県民の心にこのような深刻な不信感を植え付けています。本来、地域社会の安全を守る最後の砦であるべき警察が、その信頼を自ら破壊しているのです。特に、盗撮のような性犯罪は、被害者に深刻な精神的苦痛を与えます。その加害者が警察官であったという事実は、被害者にとって二重の裏切りであり、警察に助けを求めることすら躊躇させる絶望的な状況を生み出しかねません。

治安維持の最前線が揺らぐリスク

警察への信頼失墜は、単なるイメージダウンでは済みません。治安維持活動そのものに深刻な影響を及ぼす危険性があります。例えば、市民からの情報提供が減少したり、捜査への協力が得られにくくなったりする可能性があります。警察官が職務質問をしても「犯罪者が何を言っているんだ」と反発を招くかもしれません。警察と市民の信頼関係は、治安という社会インフラの根幹をなすものです。この関係が崩壊すれば、犯罪の検挙率低下や、治安の悪化に直結する恐れがあり、そのツケを払うのは、最終的に私たち県民なのです。

もはや小手先の対策では、この危機的状況を乗り越えることはできません。では、失墜した信頼を取り戻すために、一体何が必要なのでしょうか？

信頼回復への茨の道、鍵を握るのは何か？

過去最多となる6人の逮捕者を出した静岡県警。その信頼は地に落ち、組織の自浄作用が厳しく問われています。繰り返される謝罪や形式的な再発防止策では、もはや県民の心には響きません。鍵を握るのは、組織の膿を出し切るという強い覚悟と、抜本的な改革です。例えば、監察官室の機能を強化するだけでなく、外部の有識者を入れた第三者委員会を設置し、採用から教育、懲戒処分に至るまで、聖域なくメスを入れる必要があります。果たして静岡県警は、この茨の道を乗り越え、県民の信頼を取り戻すことができるのでしょうか。その動向が厳しく注視されています。