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ついに「1ドル155円」の領域へ――。私たちの生活を脅かす歴史的な円安が止まりません。海外旅行や輸入品が高くなるだけではない、あなたの給料が実質的に目減りしていくこの現実。なぜ、日本の円の価値は下がり続けるのでしょうか?その最大の鍵を握るのが、意外にも発足したばかりの高市新政権の経済政策です。景気を良くするはずの政策が、なぜ逆に円安を加速させているのか?あなたの生活を直撃する、円安の知られざる裏側に迫ります。
今回の円安の根本的な原因は、日本とアメリカの金融政策の「すれ違い」にあります。金利が低い通貨(円)を売って、金利が高い通貨(ドル)を買う動きが加速しているのです。では、なぜこの状況が生まれているのでしょうか。
まず、アメリカの中央銀行にあたるが、インフレ(物価上昇)の再燃を強く警戒しています。一度は落ち着きを見せた物価が再び上がり始める兆候があるため、景気を冷やす効果のある「利下げ」に非常に慎重な姿勢を崩していません。FRBの(連邦公開市場委員会)では、利下げ開始時期を先送りする発言が相次いでおり、高い金利が当面維持されるとの見方が市場に広がっています。これがドルが買われ続ける大きな理由です。
一方、日本の(日銀)は、長年の政策からようやく脱却し、マイナス金利を解除したばかりです。しかし、市場が期待していた「追加利上げ」については、観測が大きく後退しています。日本の景気回復がまだ力強さに欠けるため、利上げによって景気を冷やしてしまうことを恐れているのです。日銀の植田和男総裁も、追加利上げには慎重な姿勢を示しており、当面は大規模な金融緩和が続くとの見方が優勢です。
この結果、両国の政策金利の差である「」が縮まらないまま、むしろ拡大する可能性すら出てきました。投資家からすれば、金利がほとんど付かない円を持っているよりも、高い金利が付くドルで資産を運用した方が有利です。この単純明快な理由から、「円を売ってドルを買う」という流れが止まらなくなっているのです。これが、円安基調の根本的な構造です。しかし、この構造的な問題に加えて、今、市場の注目を一身に集める新たな円安要因が浮上しています。
日米金利差という構造的な要因に加え、最近の円安をさらに加速させているのが、高市新政権の経済政策に対する市場の見方です。市場は新政権の政策を「事実上の」と捉え、強い警戒感を示しています。
高市新政権は、経済成長を実現するためにを掲げています。これは、政府がお金をたくさん使って景気を良くしようという政策です。しかし、市場関係者の多くは、これを「金融緩和の継続」とセットの政策だと解釈しています。つまり、政府がたくさんお金を使うために、日銀がお金を刷って国債を買い支える状況が続くだろう、と読んでいるのです。お金の量が増えれば、その価値は下がります。市場は「円がさらにジャブジャブになる」と判断し、円売りに拍車をかけているのです。
この懸念を決定的にしたのが、高市首相の「黒字化目標にこだわらない」という姿勢です。PB黒字化は、国の借金をこれ以上増やさないための「財政の健康目標」のようなもの。この目標にこだわらないという発言は、市場に「日本の財政規律が緩むのではないか」という強い懸念を抱かせました。国の財政に対する信頼が揺らげば、その国の通貨の価値、つまり「円」の信認も低下します。これが、円売りの強力な材料となってしまったのです。
国のへの懸念は、直接的に通貨の信認低下につながります。「この国は将来、借金を返せなくなるかもしれない。だとしたら、この国のお金(円)を持っているのは危険だ」という心理が働くからです。かつては「安全資産」と呼ばれた円ですが、今やその地位は大きく揺らいでいます。日米の金利差という経済的な要因だけでなく、日本の国家財政そのものへの信頼低下という、より深刻な問題が円安の背景に横たわっているのです。では、この円安は私たちの生活に具体的にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。
歴史的な円安は、もはや単なる経済指標ではなく、私たちの日常生活を直撃する深刻な問題となっています。さらに、この状況には海外、特にアメリカからも異例の懸念の声が寄せられています。
円安の最も直接的な影響は、輸入物価の高騰です。日本はエネルギーや食料品の多くを輸入に頼っているため、円の価値が下がると、それらの価格が自動的に上昇します。ガソリン価格の高止まり、スーパーに並ぶ輸入小麦を使ったパンやパスタの値上がり、電気代の上昇など、あらゆる場面で私たちはその影響を実感しています。問題なのは、多くの人の給料が物価上昇のペースに追いついていないことです。数字上の給料は少し増えても、買えるモノの量が減ってしまう「実質賃金」のマイナスが続き、生活が苦しくなっていると感じる人が増えています。
驚くべきことに、この日本の状況について、アメリカの政府関係者からも懸念の声が上がっています。これは単なる同情ではありません。世界第4位の経済大国である日本の国民生活が悪化し、経済が不安定になることは、世界経済全体にとってのリスク要因です。また、急激な円安は為替市場の不安定化を招き、アメリカ経済にも間接的な影響を及ぼす可能性があります。日米の緊密な経済関係を考えれば、日本の暮らし向きの悪化は決して他人事ではないのです。米国からの異例の懸念表明は、日本の円安問題が国際的にも無視できないレベルに達していることを示しています。
止まらない円安に、日本経済の先行き不透明感は増すばかりです。市場では、政府・日銀によるへの警戒感が高まっていますが、これは一時的な効果しか期待できません。専門家の間では、当面のドル円相場のレンジを「1ドル=153.00円~156.67円」と見る向きもあり、不安定な状況は続きそうです。根本的な解決の鍵を握るのは、やはり日銀の金融政策と、政府の財政運営に対する市場の信頼回復です。この歴史的な円安の先に、日本経済の未来はどこへ向かうのでしょうか。私たちの暮らしを守るための明確な道筋は、まだ見えていません。
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