2025年共通テストは激変！新教科『情報Ⅰ』追加、国語・数学は10分延長

なぜ今、歴史的な大改革なのか？最大の目玉『情報Ⅰ』の衝撃

すべての受験生に影響が及ぶ「新学習指導要領」

今回の巨大な変化の背景にあるのは、2022年度から高校で全面実施された新学習指導要領です。その新カリキュラムで学んだ高校生が初めて受験するのが、2025年度の大学入学共通テスト。つまり、現役の高校生だけでなく、すべての受験生がこの新しいルールに対応しなければならないのです。これまでとは求められる能力が根本から変わるため、専門家の間では「入試史における大きな節目」と位置づけられています。

文系・理系問わず必須？『情報Ⅰ』のインパクト

今回の改革で最も注目されているのが、新教科『情報Ⅰ』の導入です。驚くべきことに、多くの国公立大学が、この『情報Ⅰ』を文系・理系を問わず必須科目として課す方針を打ち出しています。内容は、プログラミングの基礎やデータ分析、情報セキュリティなど、現代社会で不可欠なデジタルスキルが中心です。これは「AI時代を生き抜くための基礎教養」を大学側がすべての学生に求めていることの表れと言えるでしょう。これまで情報科目を専門的に学んでこなかった受験生にとっては、全く新しい挑戦が始まります。

この大きな変化は『情報Ⅰ』だけにとどまりません。主要教科である国語と数学にも、静かな、しかし受験生の戦略を根底から揺るがす重大な変更が加えられています。

試験時間10分延長が意味するもの - 国語・数学の知られざる狙い

国語：「思考力」を問う新大問の登場

国語では、試験時間が80分から90分へと10分延長されます。この10分が意味するものは何か？それは、新たに追加される大問の存在です。この大問では、近代以降の多様な文章（実用的な文章や論説など）を題材に、複数の資料を読み解き、自分の考えをまとめるような、より高度な思考力や判断力が問われると予想されています。単に文章を読んで答えるだけでなく、情報を整理・分析し、表現する力が求められるようになります。付け焼き刃の知識では太刀打ちできない、まさに「真の国語力」が試されることになるのです。

数学：『数学C』追加で広がる出題範囲

数学も同様に、試験時間が60分から70分へと延長されます。従来の「数学②」は「数学Ⅱ、数学B、数学C」という科目に再編され、特に行列などを扱う『数学C』が新たに出題範囲に加わることが大きな変更点です。これにより、学習すべき範囲が広がるだけでなく、複数の分野を融合した応用問題が出題される可能性が高まります。数学が得意な受験生にとっては差をつけるチャンスですが、苦手な受験生にとっては対策がさらに難しくなるかもしれません。10分の延長は、より複雑で思考力を要する問題への対応時間と考えるべきでしょう。

主要教科の変化に加え、受験生をもう一つ悩ませるのが、社会科目の複雑化です。ここでは、志望校選びにも直結する思わぬ落とし穴が待っています。

複雑化する科目選択 - 受験生を悩ます「見えざる壁」

『歴史総合』『公共』… 新科目ラッシュへの戸惑い

地理歴史・公民分野も、まさに「激変」します。『地理総合』『歴史総合』『公共』といった新科目が導入され、科目選択の組み合わせが非常に複雑になります。例えば、これまでの「世界史B」や「日本史B」は、近現代史を扱う『歴史総合』と、各時代を深く学ぶ「探究」科目を組み合わせた形になります。受験生は、自分の志望する大学がどの科目の組み合わせを指定しているのかを、これまで以上に慎重に確認する必要があります。この情報収集を怠ると、出願時に「受験資格がない」という最悪の事態も起こりかねません。

既卒生はどうなる？経過措置の光と影

こうした大改革の中で、旧課程で学んだ既卒生が不利にならないよう、救済策も用意されています。それが経過措置です。地理歴史・公民、数学、情報の科目において、旧課程の内容に基づいた問題が選択できるようになります。しかし、これはあくまで一時的な措置。一方で、すべての現役生は「過去問が存在しない」という前代未聞の課題に直面します。特に『情報Ⅰ』は、出題傾向も難易度も未知数。まさに、手探りの状態で本番に挑むことになるのです。

では、この「過去問なき戦い」を、受験生はどう乗り越えればよいのでしょうか？合格への道筋は、確かに存在します。

合格の鍵を握るのは何か？過去問なき戦いを乗り越えるために

2025年の共通テストは、単なる知識の暗記から、情報を活用し論理的に考える力へと、評価の軸が大きくシフトする歴史的転換点です。この変化の核心は、過去問が存在しない『情報Ⅰ』や各教科の新傾向問題に、いかに早く、そして的確に対応できるかにあります。鍵を握るのは、大学入試センターが公開している試作問題やサンプル問題を徹底的に分析し、出題者の意図を読み解くこと。この情報戦を制することが、合格への最短ルートとなるでしょう。この教育改革は、これからの社会を生きる子どもたちに本当に必要な力を問いかけているのかもしれません。日本の教育の未来が、この入試改革の先に透けて見えます。